東芝事件についてはいろいろと不可解な点がありましたが、日経ビジネスがいろいろとすっぱ抜いているようです。
米国子会社について調査範囲を限定するか否かについて、第三社調査委員会の弁護士が会社側にいろいろと経営陣に働きかけていたようです。
第三者調査委員会が東芝の子会社の調査を行わなければ、子会社の損失あ明るみになることはしばらく先になります。
第三者調査委員会の目的について「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」によると、
「第三者委員会は、不祥事を起こした企業等が、企業の社会的責任(CSR)の観点から、ステークホルダーに対する説明責任を果たす目的で設置する委員会である。」
と書かれており、さらに、
「第2.第三者委員会の独立性、中立性第三者委員会は、依頼の形式にかかわらず、企業等から独立した立場で、企業等のステークホルダーのために、中立・公正で客観的な調査を行う。」
とも規定されています
ところが、弁護士先生とお話ししていると、弁護士のDNAとして、顧客の利益最優先で考えておられるように感じることがままあります。
そこには、「社会全体としてこうあるべき」や「社会正義としては絶対に許されない」という考え方は働かず、あくまでも弁護士は依頼者のために働くことが求められているようです。
もちろん、そのように解さないと、凶悪犯罪者の弁護をする弁護士はいなくなってしまうというのもその考え方の根底にはあるのでしょう。
これは、弁護士職務基本規程にもあらわれていて、 第21条には、
「(正当な利益の実現)
弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める。」
と、明文で規定されています。
ところが、これは、第三者調査委員会の目的と矛盾するといっても過言ではないか思います。
実は、公認会計士の監査業務も同じような問題を抱えています。
公認会計士は、監査を業務としますが、監査報酬は会社からもらっています。しかし、監査自体は、主として投資者(家)・株主保護のために行っています。
監査報酬を会社からもらっているため、監査業界は長年、 「監査法人は経営者のために働いているのではないのか」という、社会からの疑念とずっと戦ってきていました。
なかなか答えの出ない問題ですが、同様に、第三者調査委員会業務に携わる弁護士にとっても当てはまる問題であり、ややもすると、依頼者のために働いてしまう弁護士の先生は特に注意をしなければならない問題であるといえます。