【公認不正検査士(CFE)とは】
名刺に、「公認不正検査士」と書いてあると、良く、「これってどんな資格なんですか?」と聞かれたりします。
元々は、CFEというアメリカの資格でしたが、その資格を日本に持ってきたものです。
CFEはCertified Fraud Examiner の略ですが、それを日本語に訳したものです。
イメージ的には、「不正調査士」や「不正調査人」や「不正監査士」といったイメージをひとまとめにした役割をする人でしょうか。
【世の中に知られるようになったきっかけ】
エンロン事件等の不祥事を契機として、米国では、2008年に、米国公認会計士協会や内部監査人協会(IIA)及び公認不正検査士協会(ACFE)が共同提案したManaging the Business Risk of Fraud が注目を浴び、また、日本においても、日本公認会計士協会が、2013年に公表した、経営研究調査会研究報告の「不正調査ガイドライン」で、ACFE JAPANの不正検査士マニュアルが引用されていることから注目を浴びています。
また、日本では、青山学院の八田進二教授が企業会計審議会などで「不正のトライアングル」についても言及されており、注目が上がっています。
日本での、協会の加入人数は、1200人程度で、そのうち、「公認不正検査士(CFE)」という肩書を保有しているのは750名程度です。
加入者数と比較して、「公認不正検査士(CFE)」の数が少ないのは、資格登録をする上で、「2年以上の不正対策関連業務経験」という実務要件が存在するためです。
というのは、例え、試験に合格をしたとしても、2年間の実務要件がなければ、資格登録することができないため、協会の加入人数と比較して公認不正検査士の人数が少ない一つの原因であると言えます。
ただ、アメリカの場合は、公認不正検査士の人数は26000人以上おり、かなりメジャーな資格になっているようです。
財務取引と不正スキーム(主に会計分野)、不正の法的要素(主に法律分野)、不正調査 (主に調査の分野)、犯罪学と倫理(主に犯罪学などから)の4科目からなります。
1科目あたりの試験時間は2時間であり、ちょっと量があります。2択か4択の択一式の問題が中心ですが、中には正誤数を問う問題もあり、勉強をしなければ通らない試験になっています。
また、公認不正検査士として登録するには、3名の推薦状と、上記で書いたように、2年の実務経験が必要となり、アメリカらしい資格の特徴が垣間見られます。
「不正検査士マニュアル(2005-2006日本版 改訂版)」から出題されます。
このマニュアルは全部で2200ページ以上もあり、不正調査をする上で、非常に興味深い内容が書かれています。
著作権の関係で、ごく一部しか公開しませんが、結構深い内容について書かれていることがわかると思います。
また、試験合格を念頭に、効率よく勉強するためには、最低でも「CFE資格試験対策問題集」をきっちりとこなす必要があります。
この問題集は、450ページ弱あり、
財務取引と不正スキームの分野で604問
不正の法的要素の分野で250問
不正調査の分野で285問
犯罪学と倫理の分野で173問
の択一式の問題があります。不正検査士マニュアルを一通り、理解し、問題集をほぼ完ぺきに回答することができるようになるまでの勉強時間数が合格までに必要となる勉強時間になるのではないでしょうか?
会計も法律の知識もない全くの初心者の場合、おそらく、合格するまでに最低でも数百時間は必要になってくるのではないでしょうか。
合格率は、それほど低くはないようですが、受験者層が、それなりの地位や資格を持っている人が多いため、やはり、それなりに勉強をしないと合格は難しいようです。
試験の難易度は、公認会計士や弁護士のように、会計や内部統制や法律を一通り勉強した人であれば、テキストを読んで問題集をちゃんとこなせばまず合格するレベルだと思います。
会計や内部統制や法律について全くの初心者である場合には、キッチリと勉強する必要があるかと思います。
以前は、公認不正検査士(CFE)の資格だけで監査法人の求人があり、監査法人などで就職等が可能な時代もありました。ただ、リーマンショック以降は資格を取得しただけでは就職は難しくなっているようです。
ただ、事業会社の場合、監査部に就職する場合に、非常に評価される資格となっているようです。
私がいた証券取引等監視委員会では、募集要項に、「上記に関し、証券アナリスト、公認内部監査人(CIA)、公認不正検査士(CFE)、公認金融監査人(CFSA)等の資格があれば、なお望ましい。また、いずれも英語が得意であれば、なお望ましい。」と記載しており、プラスアルファの資格要件として優遇されているようです。
気になる年収ですが、公認不正検査士協会では、「ACFEによる2011年版「報酬ガイド」によると、米国のCFE資格保有者の年収は、同様の役職にある非保有者と比べて平均20%高いと発表された。」と発表しており、持っていて損ではない資格であることには間違いないようです。