会計士や弁護士が行う取調べのレベルとプロが行う取調べの差について

取調べのプロと弁護士や会計士が行う取調べとどこが違うのか聞かれたことがあります。

自分が見たり聞いたりした範囲になってしまうのですが、証券取引等監視委員会にいた際に、第三者調査委員会で弁護士が行う聴き取り調査の録音を聞いたり、報告書を見たりする機会があったのでその経験を基にすると、概ねこんな違いになります。

 

プロが行うのが「取調べ」で弁護士や監査法人の会計士などが行うのが「インタビュー」というイメージです。

 

インタビューの和訳には、「尋問」という意味も確かに存在しますが、むしろ、「質問」という意味合いが強いと思います。

 

具体的なノウハウについて書くわけにいかないのでイメージにとどめておきますが、取調べの場合、外堀を埋め、ぐいぐい追いつめて逃げられないようにしてから相手に自白を促すためのとどめを刺しに行くというイメージがあります。

 

これに対して、インタビューは、事実について、淡々と質問をしていくイメージが強いです。

 

日本公認会計士協会が公表している「不正調査ガイドライン」にインタビューの手法の一部が書いてありますので参考にしてみるとわかりやすいと思います。

 

そして、プロが行ういわゆる「取調べ」のほうがやはり弁護士や会計士の先生が行うインタビューと比較して、正直レベルがはるかに高いという印象があります(もちろん私が知りうる範囲だけの話です)。

 

どれくらいすごいのかと言いますと、ある、会社の経理部長の質問調査を担当していて、30分立ってものらりくらりとはぐらかされてしまいました。

 

これでは埒が明かないと思い、大阪国税でトップレベルの取調べを担当していたIさんに同席を願いました。

 

そうしたところ、Iさんは、たった5分でその部長を自白に追い込みました。その部長は、私もいる面前で「すみません。嘘をついていました。」とあっさり自白してしまいました。

 

正直、このレベルの差にショックを受けました。普通の会計士と、国税のプロとの差をまざまざと感じさせられました。

 

自分では、監査法人時代には、監査の一環として、お客さんに質問をすることは多く、話を引き出すのはうまい方だと自負していましたし、それまでに、証券取引等監視委員会に既に2年いたため、課徴金調査の一環として2年にわたって質問調査を行っており、それなりのレベルに達していたと思っていたのですが、それは単なる思い上がりにすぎないということを見せつけられました。

 

幸いにも私は、その後、Iさんと組む機会が多く、Iさんから取調べのノウハウについて教えを受けることができたため、質問能力がかなり上達したと思います。

 

もし、自分が、この人と一緒に仕事をしなかったら、この人のレベルに達するまでには20年くらいかかるだろうと思うくらいです。

 

さすがに、会計士や弁護士の先生でIさんぐらいのレベルに達している人には未だにあったことがありません。

 

この差についていろいろと考えてみたのですが、元々、不正調査を専門に行っている弁護士や会計士は少ないからではないでしょうか。

 

捜査機関が行う取調べの場合には、逮捕しない限り、時間に余裕があり、何度でも同じことを聴き取りすることが可能であるのに対して、第三者調査委員会などがおこなう聴き取り調査は、時間的制約があり、せいぜい数回にとどまり、核心に迫る深い部分まで質問をおこなうことが困難であり、表面的なインタビューに終始してしまい、十分な経験を積むことができないというのが一つの原因とおもわれます。

 

もっとも、プロと言っても、国税の資料調査課・査察(マルサ)出身の人や検察庁の特捜部出身の人と財務局から来たばかりの取調べ未経験の調査官とではレベルに雲泥の差がありますので注意が必要です。

 

野村宜弘公認会計士事務所

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