会社に不祥事が発生し、損害賠償の請求を従業員に行ったりする場合があります。
裁判になった時、裁判にかかった費用を一体だれが支払うのかが問題となります。
民事訴訟法第61条には、「訴訟費用の負担の原則」として、「訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。」と明文化されています。
つまり、裁判に負けた人が、「訴訟費用」を支払うことになるのです。
では、裁判に勝った人は負けた人に裁判にかかった費用をすべて請求することができるのかというとそうではありません。
あくまでも「訴訟費用」を請求することができるだけです。
実は「訴訟費用の中に弁護士に支払ったお金は含まれるのか?」という点について、士業の先生の中にも知っているようで、結構知らないひとが多いようです。
訴訟費用については、「民事訴訟費用等に関する法律」という法律があり、その第2条に「当事者その他の者が負担すべき民事訴訟等の費用の範囲及び額」として詳しく書かれています。
この条文自体、別の条文を参照しているのもあるのですが、具体的に言えば、収入印紙代や証人などの旅費日当代や郵便料などが訴訟費用に該当します。
そして、この第2条のなかには「弁護士費用」とはどこにも書かれていません。そのため、弁護士費用は訴訟費用に含まれないことになります。
また、念のため、裁判所のウエブサイトをちぇっくしても同様の記載があります。
「裁判手続 民事事件Q&A 」内にある「 民事訴訟にかかる費用は,だれが負担するのですか。」という質問に対する答えの中に
「例えば,弁護士費用は訴訟費用に含まれません。」とはっきりと書かれています。
そのため、裁判に勝ったからといっても、莫大な弁護士費用は結局自腹になってしまいます。
では、和解の場合の負担はどうなるのかと言いますと、民事訴訟法第68条で、「当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。」
と規定されており、原則として、各自が負担することになります。
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