判例等で使用される略号について

 

不正調査を行う時、過去の事件で裁判上、どのように扱われてきたのかについて、判例等を検索して確認することがあります。

 

判例について、弁護士の先生であれば、当たり前の話なのですが、法律の勉強をかじった程度の人や他士業の先生にとって馴染みが薄く、なかなかその意味が分からなかったりします。

 

今回は、法律を専門的に扱う人以外の人にとってわかりにくい判例などで使用される略語についてみていきたいと思います。

 

 

 

判例集や法律の書籍などを見ると、例えば、「大審院判例S.10.10.1.民集14-1671」と書いてあったり、「最判 S61.12.16 民集40-7-1236」と書いてあったりします。

 

それぞれの。略号の意味は、大体こんな感じになります。

 

最:最高裁判所

 

大:大審院

 

判:判決

 

決:決定

 

命:命令

 

審:審判

 

民集:最高裁判所民事判例集、大審院民事判例集

 

刑集:最高裁判所刑事判例集、大審院刑事判例集

 

判時:判例時報

 

判タ:判例タイムズ

 

 

 

意味を見れば、大体わかるのが多いと思いますが、馴染みがうすい言葉について、少し見てみましょう。

 

 

 

「大審院」とは明治憲法における最高裁判所のようなものです。日本国憲法で新たに「最高裁判所」が設置されたことにより廃止されました。

 

 

 

また、「民集」・「刑集」といった「最高裁判所判例集」は、1年に1巻ずつ発行され、1ヶ月から2か月に1号ずつ発行されているようです。

 

これらの最高裁判所判例集は、最高裁判所判例委員会が重要な判例として選んだものが掲載されます。ですので、これを、「公式判例」といったりもします。逆に、ここに掲載されないものは「非公式判例」といったりします。

 

また、戦前の大審院の判例集には、「号」というのがなく、巻とページだけであったようです。

 

ちなみに、「民集」「刑集」は、1922(大正11)以降に収録されたものであり、1875(明治8)から1921(大正10)までの判例は、民事判決録(民録)や刑事判決録(刑録)というのに収録されており、「巻」という呼び方をせず、「輯(しゅう)」と呼び方をしていたそうです。

 

また、さらに判例について詳しく知りたい時には、「最高裁判所判例解説」をみるとその背景について知ることができます。というのは、その事件を担当した、最高裁判所の調査官自体が書いているからです。ちなみに、この「最高裁判所判例解説」は、法曹会が出版しています。

 

 

 

判例時報は、毎月1日、11日、21日に発売され、判例タイムズは、昭和23年創刊で、毎月1日に発行されています。

 

これらの、判例時報や判例タイムズは、最高裁判所判例集に掲載されていない東京地方裁判所などの裁判例を引用するときに使用したりします。

 

 

 

〔判例という言葉について〕

 

判例というのは、厳密には、最高裁判所の判断を「判例」といい、高等裁判所や地方裁判所などの下級裁判所の判断を「裁判例」といい「判例」という言葉と区別して使用することもあります。

 

 

 

これが、どの程度拘束力があるかについて議論の余地がありますが、少なくとも、判例を変更するときには大法廷で審判されることになります。

 

この根拠となる、裁判所法第10条の条文は、以下の通りです。

 

 

 

(大法廷及び小法廷の審判)

 

  事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。

 

一  当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)

 

二  前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。

 

三  憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。

 

 

 

ちなみに、少し似た話として、同一の事案については、延々と上告されるのを断ち切るため、裁判所法4条には、「上級審の裁判の拘束力」として、「上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する。」と規定されています。

 

 

 

〔おまけ〕…§という記号について

 

今回は、略号について、記載していますが、学術書などには、sを縦に2つ並べたような記号である§が使われていることがあります。

 

これは、セクション記号とよばれるものであり、この変換方法は、「セクション」と入力して変換することができます。

 

この§は、法律のせかいでは、一般的に条文を意味します。例えば、§95と書いてあれば、95条という意味になります。

 

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コメント: 4
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