2015年
11月
20日
金
2015年
7月
18日
土
金融商品取引法における有価証券の範囲にコマーシャル・ペーパーが含まれるか?という質問を受けました。結論から言いますと、含まれることになります。
具体的な条文を追っていきたいと思います。
まず、有価証券の範囲として一義的に、「金融商品取引法」第2条で「定義」が定められています。
ただし、国会制定法である金融商品取引法という法律の中で完結しているのではなく、その中には、別の法律や政令や内閣府令に具体的な内容が委任されているものがあります。
一般的に、、法令→政令→府令というように上下関係が決まってくるのですが、金融商品取引法の場合、2条1項15号で「法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形のうち、内閣府令で定めるもの」とあります。
そして、この「内閣府令」が具体的に何を指すかといいますと「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令」というのがあり、そこに規定されています。
そこの第2条にコマーシャル・ペーパーについての規定があります。
(コマーシャル・ペーパー)
第二条 法第二条第一項第十五号 に規定する内閣府令で定めるものは、当該法人の委任によりその支払いを行う次に掲げる金融機関が交付した「CP」の文字が印刷された用紙を使用して発行するものとする。
一 銀行
二 信用金庫及び信用金庫連合会並びに労働金庫及び労働金庫連合会
三 農林中央金庫及び株式会社商工組合中央金庫
四 信用協同組合及び信用協同組合連合会並びに業として預金又は貯金の受入れをすることができる農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会
そのため、コマーシャル・ペーパーは金融商品取引法2条でいう「有価証券」に含まれることとなります。
2015年
7月
17日
金
東芝は、今日、当初の予定では今日(2015年7月17日(金曜日))に第三者調査委員会の報告書を提出する予定でしたが遅れているようです。
経験則上、第三者調査委員会の報告書は金曜日に公表する場合が多い気がします。
その理由について考察してみました。おそらくこういうことでしょう。
すなわち、理由は大きく2つあり①市場の混乱を避けること②メディア対策になります。
○市場の混乱を避けるため
・市場が閉まる15:00に公表することで市場の混乱を避ける
・土日で投資家の頭を冷やす時間を与える。
⇒投げ売り防止
・市場が混乱しそうであれば、土日に対応策を発表することが可能
○マスコミ対策
・従業員にインタビューをされにくい
・15時以降だと当日の夕刊に間に合わない
・もっと遅いと7時のNHKニュースに間に合わない
・週末だとニュースを見ない人が多い
・土日は家族サービスで注意がそれる
⇒職場での伝播性が低い
・土日は報道番組が少ない
・平日読む層と休日読む層が異なる。
・日曜日は夕刊がない
・月曜日も休刊日である場合がる。
⇒今回は連休がある。
・月曜日までに別の大事件があるとうやむやにされる。
・ニュースが流れた結果、反応が悪ければ、会社は土日で対応が可能
箇条書きですが、こんな感じになると思います。
2014年
4月
13日
日
不正調査を行う時、過去の事件で裁判上、どのように扱われてきたのかについて、判例等を検索して確認することがあります。
判例について、弁護士の先生であれば、当たり前の話なのですが、法律の勉強をかじった程度の人や他士業の先生にとって馴染みが薄く、なかなかその意味が分からなかったりします。
今回は、法律を専門的に扱う人以外の人にとってわかりにくい判例などで使用される略語についてみていきたいと思います。
判例集や法律の書籍などを見ると、例えば、「大審院判例S.10.10.1.民集14-1671」と書いてあったり、「最判 S61.12.16 民集40-7-1236」と書いてあったりします。
それぞれの。略号の意味は、大体こんな感じになります。
最:最高裁判所
大:大審院
判:判決
決:決定
命:命令
審:審判
民集:最高裁判所民事判例集、大審院民事判例集
刑集:最高裁判所刑事判例集、大審院刑事判例集
判時:判例時報
判タ:判例タイムズ
意味を見れば、大体わかるのが多いと思いますが、馴染みがうすい言葉について、少し見てみましょう。
「大審院」とは明治憲法における最高裁判所のようなものです。日本国憲法で新たに「最高裁判所」が設置されたことにより廃止されました。
また、「民集」・「刑集」といった「最高裁判所判例集」は、1年に1巻ずつ発行され、1ヶ月から2か月に1号ずつ発行されているようです。
これらの最高裁判所判例集は、最高裁判所判例委員会が重要な判例として選んだものが掲載されます。ですので、これを、「公式判例」といったりもします。逆に、ここに掲載されないものは「非公式判例」といったりします。
また、戦前の大審院の判例集には、「号」というのがなく、巻とページだけであったようです。
ちなみに、「民集」「刑集」は、1922年(大正11年)以降に収録されたものであり、1875年(明治8年)から1921年(大正10年)までの判例は、民事判決録(民録)や刑事判決録(刑録)というのに収録されており、「巻」という呼び方をせず、「輯(しゅう)」と呼び方をしていたそうです。
また、さらに判例について詳しく知りたい時には、「最高裁判所判例解説」をみるとその背景について知ることができます。というのは、その事件を担当した、最高裁判所の調査官自体が書いているからです。ちなみに、この「最高裁判所判例解説」は、法曹会が出版しています。
判例時報は、毎月1日、11日、21日に発売され、判例タイムズは、昭和23年創刊で、毎月1日に発行されています。
これらの、判例時報や判例タイムズは、最高裁判所判例集に掲載されていない東京地方裁判所などの裁判例を引用するときに使用したりします。
〔判例という言葉について〕
判例というのは、厳密には、最高裁判所の判断を「判例」といい、高等裁判所や地方裁判所などの下級裁判所の判断を「裁判例」といい「判例」という言葉と区別して使用することもあります。
これが、どの程度拘束力があるかについて議論の余地がありますが、少なくとも、判例を変更するときには大法廷で審判されることになります。
この根拠となる、裁判所法第10条の条文は、以下の通りです。
(大法廷及び小法廷の審判)
事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
一 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)
二 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。
三 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。
ちなみに、少し似た話として、同一の事案については、延々と上告されるのを断ち切るため、裁判所法4条には、「上級審の裁判の拘束力」として、「上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する。」と規定されています。
〔おまけ〕…§という記号について
今回は、略号について、記載していますが、学術書などには、sを縦に2つ並べたような記号である§が使われていることがあります。
これは、セクション記号とよばれるものであり、この変換方法は、「セクション」と入力して変換することができます。
この§は、法律のせかいでは、一般的に条文を意味します。例えば、§95と書いてあれば、95条という意味になります。
2014年
4月
06日
日
会社に不祥事が発生し、損害賠償の請求を従業員に行ったりする場合があります。
裁判になった時、裁判にかかった費用を一体だれが支払うのかが問題となります。
民事訴訟法第61条には、「訴訟費用の負担の原則」として、「訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。」と明文化されています。
つまり、裁判に負けた人が、「訴訟費用」を支払うことになるのです。
では、裁判に勝った人は負けた人に裁判にかかった費用をすべて請求することができるのかというとそうではありません。
あくまでも「訴訟費用」を請求することができるだけです。
実は「訴訟費用の中に弁護士に支払ったお金は含まれるのか?」という点について、士業の先生の中にも知っているようで、結構知らないひとが多いようです。
訴訟費用については、「民事訴訟費用等に関する法律」という法律があり、その第2条に「当事者その他の者が負担すべき民事訴訟等の費用の範囲及び額」として詳しく書かれています。
この条文自体、別の条文を参照しているのもあるのですが、具体的に言えば、収入印紙代や証人などの旅費日当代や郵便料などが訴訟費用に該当します。
そして、この第2条のなかには「弁護士費用」とはどこにも書かれていません。そのため、弁護士費用は訴訟費用に含まれないことになります。
また、念のため、裁判所のウエブサイトをちぇっくしても同様の記載があります。
「裁判手続 民事事件Q&A 」内にある「 民事訴訟にかかる費用は,だれが負担するのですか。」という質問に対する答えの中に
「例えば,弁護士費用は訴訟費用に含まれません。」とはっきりと書かれています。
そのため、裁判に勝ったからといっても、莫大な弁護士費用は結局自腹になってしまいます。
では、和解の場合の負担はどうなるのかと言いますと、民事訴訟法第68条で、「当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。」
と規定されており、原則として、各自が負担することになります。